こども相談室

2010年6月10日

第33回 熱性けいれん

「熱性けいれん」とは病気ですか?

病気というようりは、38℃以上の急な発熱に伴っておこるけいれん症状のことです。6ヶ月から5歳(主に1〜3歳)の乳幼児にみられます。乳幼児の脳は未熟なので、急な発熱によって脳の神経細胞が興奮し、けいれんを起こすことがあります。10人に1人は熱性けいれんの経験があると言われていますから、決して珍しくない症状です。遺伝的な体質も関係しているので、親・兄弟に熱性けいれんの経験があると、可能性が高いかもしれません。

 

症状

突然体をつっぱり、手足をガタガタ震わせ、白目をむいて、意識を失い、呼吸が荒く不規則になります。いわゆる「ひきつけ」です。しかし、これらの症状はたいてい5分以内におさまります。高熱に伴って、数分間一点を見つめるように意識がボーとする状態も熱性けいれんの症状と考えられます。

 

けいれんが起きたときの3つのポイント

☆あわてないで!
初めて子どものひきつけを見た人はびっくりしてしまいますが、けいれんは数分でおさまることが多いので、落ち着いて対応してください。
☆安全で楽な姿勢に
呼吸が楽になるように衣類をゆるめます。嘔吐することがあるので顔を横に向け、口にあふれてきた唾液や吐物を拭いてあげてください。この時、舌をかまないようにタオルなどをくわえさせるのは、かえって危険です。
☆観察する
「体温」と「どのようなけいれん」が「どのくらいの時間続く」のか観察してください。それによって、病院に行った方がよいか判断できます。

 

受診の判断

熱性けいれんは通常5分以内におさまり意識も戻りますので、必ず病院に行く必要はありません。ただし次の様な場合は、単純な熱性けいれんでなく、脳の病気かもしれませんから、すぐに受診してください。
☆けいれんが10分以上続く
☆一旦おさまったけいれんが再びおこる
☆からだの一部だけのけいれんや、体の片側だけのけいれん
☆けいれんの後、1時間だっても意識がもどらない、手足が動かない。

 

予防方法

統計によると、熱性けいれんを起こしたこどもの55%は1度しか発作を起こしていません。3回以上おこすこどもは4人に1人程度です。成長に伴って脳は熱の刺激に強くなるので、けいれんは起こりにくくなります。基本的に予防する必要はありません。それでも心配な人には、体温37.5℃を超えたら「ダイアップ坐薬」を使用するという方法もあります。詳しくはかかりつけの小児科医にお尋ねください。

 

(千葉県千葉リハビリテーションセンター 小児神経科 石井 光子 医師)

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