こども相談室

2010年9月10日

第34回 溶連菌

「溶連菌」について詳しく知りたいので、教えてください。

溶連菌感染症は、溶連菌がのどに感染して起こる病気の総称です。

 

症状

溶連菌は、正式にはA群β溶血性レンサ球菌と呼ばれる細菌で、主に咽頭炎・扁桃炎を引き起こします。溶連菌感染症の主な症状は、突然の発熱とのどの痛み、頭痛などですが、顔や身体に発疹が出現することがあります。この発疹は痒みを伴うことがあります。また、吐き気や腹痛を伴うこともしばしばあります。
診察上は、咽頭、扁桃が真っ赤になり、首のリンパ節の腫脹が認められます。舌の表面が細かく腫れて、「いちご舌」と呼ばれる状態になることも、溶連菌感染症の特徴です。
溶連菌感染症は冬期を中心に、しばしば学校や幼稚園、保育園などで流行が認められます。また、家族内でも伝播が認められることもあります。

 

診断

症状と周囲の流行状況から溶連菌感染症が疑われる場合には、咽頭を綿棒でこすったものを検体として細菌培養検査あるいは、溶連菌迅速抗原検査を行い、診断を確定します。迅速抗原検査は30分以内で検査結果を得ることができるので、便利な方法ですが、菌量が少ないと陰性になってしまうことがあります。

 

治療

溶連菌感染症は、リウマチ熱や急性糸球体腎炎などの続発症の発症をおさえることに気を付ける必要があり、原則的には、抗菌薬治療を必要とします。投与する薬剤としては、ペニシリン系抗菌薬が第一選択とされます。投与期間は10日間ですが、最近では、セフェム系抗菌薬の短期療法(5日間)も選択肢のひとつとなりました。
溶連菌感染症は、適切な抗菌薬が投与され、24時間を経て、解熱し全身状態が回復すれば、登校、登園は可能ですが、症状が消失しても抗菌薬の内服は最後まで続けることが必要であり、途中でやめてしまうと症状が再び出現する可能性があることを理解しておかなくてはいけません。
なお、稀ではありますが、溶連菌感染症に対する治療をきちんと行っても腎炎を発症することがあります。腎炎の症状としては、身体のむくみや尿量の減少、血尿などがあります。このような症状が認められた場合には、早めに医療機関を受診するようにしてください。

 

(千葉大学医学部付属病院小児科 石和田 稔彦 医師)

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