こども相談室
第39回 こどもの便秘
こどもの便秘の特徴は?
こどもの便秘の原因は、年齢によって様々です。生後すぐの便秘は、生まれつきの腸の病気が原因で手術が必要な場合もありますが、大多数のお子さんの便秘には、偏食・生活習慣や体質によるものが多く見られます。症状は単に便が出ないというだけでなく、激しい腹痛をおこしたり、血便を伴ったりすることもあります。
治療は?
治療は今困っている症状を取り除くことと、その後のスムーズな排便を維持していくことの2 つに大別されます。
まず便が出なくて困っている場合は、直腸にたまっている便を出すことが重要ですので、浣腸が最も効果的です。重症の場合は、入院して何日もかけて便を出すこともあります。
次に、スムーズな排便を維持するためには、生活習慣の改善と薬物治療を組み合わせて行います。できる限り偏食をなくし、繊維質の多い野菜や海草、ヨーグルト、プルーンなど便通に良い食品を摂るように心がけましょう。また朝食は必ず食べ、その後にトイレに座る習慣をつけることも重要です。朝排便することで、1日すっきりと過ごせるようになります。薬物治療は、一般に緩下剤と呼ばれる飲み薬が使われます。こどもにはシロップや粉の薬を使うことが多いです。飲めれば漢方薬も効果的です。漢方薬は、効きすぎておなかが痛くなることもなく、長期に内服すると体質の改善につながることも多いようです。
浣腸や薬は癖にな?
よくこのような質問を受けます。確かに便秘薬の一部には習慣性がありますが、浣腸やこどもが通常使うような内服薬では問題になることはまずありません。浣腸や薬が「便を出せない体にしてしまう」わけではなく、「自然には便を出しにくい体」だから薬を使うのです。便は一生付き合っていくものです。毎日付き合うものならば、「排便は苦しいもの」ではなく「便が出てすっきりした」と思えるほうが良いでしょう。薬の力を借りながらすっきりした感覚を覚え、排便習慣をつけていくことが重要です。
◎ 子どもの便秘で受診のタイミングは、困る症状がある場合(腹痛、食欲減退など)です。
◎ 浣腸は、自分で行う場合は、ききわけがつく4〜5歳くらいからの使用が良いかと思いますが、医療機関の指導があれば、生後1 〜2ヵ月でも可能です。
(千葉県小児科医会 村松 俊範 医師)