こども相談室
第44回 こどもの誤飲について
赤ちゃんは生後半年も過ぎると、何でも手にして口に持っていくようになりますが、食べ物とそうでないもの(異物)を区別することはできません。異物を誤って飲みこむことを誤ご飲いんといい、のどや気管に詰まらせてしまうことを誤嚥(きえん)といいます。
乳幼児でみられる誤飲
固形物(ボタン型電池、磁石、コイン、おもちゃ等)、その他(タバコ※、薬品、洗剤等)がよくみられます。症状がある場合は嘔気・嘔吐・腹痛などを認めます。
※ タバコはそのものより、吸殻の入った(ニコチンの溶け出した)灰皿の水を飲んだ場合のほうが危険です。
乳幼児でみられる誤嚥
ピーナッツが多く、その他豆類、果物、プラスチックなどがみられます。ピーナッツ誤嚥は窒息や重症肺炎の原因になり、死亡する危険すらあります。何かを飲みこんだあとに激しいむせこみや嘔吐、呼吸にゼーゼーなどの音がすることもあります。
予防方法
赤ちゃんの口に入る小さなものや危険薬品を、目や手の届くところに置かないことが最も重要です。直径が32mm 以下(トイレットペーパーの芯に入る)ものは誤飲の可能性があります。ピーナッツや乾燥した豆類は乳幼児に与えないようにしましょう。
自宅での応急処置
まず周囲を確認し、口の中に異物があれば取り除きます。
◆吐かせてはいけないもの
・何を飲んだかわからない
・ボタン電池
・コイン
・灯油/ベンジン
・マニュキュア/除光液
・洗浄剤/漂白剤
◆吐かせるもの
・タバコ
・ホウサン団子
・ナフタリン
・大量の医薬品
※タバコの吐かせ方
1.舌の奥を下に押し付ける
2.濃いぬるいお茶を作り、くりかえし飲ませては吐かせる(牛乳や水は飲ませないでください!)
救急受診すべきケースについて
ボタン電池、複数の磁石、タバコ、薬品などはそのままにしておくと危険ですので、すぐに受診しましょう。固形物は現物を持参し、薬品は成分のわかるものを持参してください。
日本中毒情報センターの中毒110番(電話029-852-9999:無料)に問い合わせ、正確な応急処置を取ってください。
(千葉県小児科医会 菱木 はるか 医師)