こども相談室
第54回 子どもの花粉症
うちの子花粉症?
花粉症の代表的なものは、春2 月から4月に症状が出現するスギ花粉症ですが、他に夏に症状がみられるイネ科の花粉症、秋に症状がみられるブタクサ花粉症等があります。花粉の飛散時期にくしゃみ、鼻水、鼻づまりが出現する場合は花粉症の可能性が高いと考えられますが、子どもの場合は、風邪症状と似ているため区別がつきにくいこともあります。毎年同じ時期に症状が現れる、目のかゆみも伴うなどがあれば確実と思われます。血液検査でも診断されますが、発症初期や、薬を内服している場合などでは稀に陰性となることもあります。
何歳くらいから花粉症になるの?
子どもの花粉症は年々増加しています。5–9 歳では13.7%、10–19 歳では31.4%がスギ花粉症で成人とほぼ同じです。4 歳以下の子どもでも数% がスギ花粉症です。スギ花粉にさらされた翌年から発症する可能性はありますので、最も早ければ1–2 歳で花粉症になってしまいます。
治療方法は?
大人の花粉症と基本は同じです。まずアレルギーの原因となる花粉の除去と回避をし、薬物療法、免疫療法等があります。しかし子どもでは、花粉飛散中に登下校、体育の時間などがあり回避することがなかなか難しくなります。マスクの使用は有効です。薬物療法はあくまでも対症療法で、治すものではありません。薬の中には副作用として眠けがくるものもあり、子どもでも注意が必要です。
舌下免疫療法はどういうものですか?
アレルギーの原因物質(抗原)を少しずつ体内に入れて、アレルギー反応を弱めていく治療法です。スギ抗原を含むエキスを舌の下に投与して、2 分後に飲み込みます。以前は、皮下注射でしたが、昨年からスギ花粉症に対する舌下免疫療法が保険適用となりました。12 歳以上が対象です。スギ花粉の飛散前から開始し、最低2年間毎日継続が必要となりますが、現在唯一治癒が期待できる治療法です。
(千葉県こども病院 耳鼻咽喉科 仲野敦子 医師)